翔べ!必殺うらごろし 下巻 [DVD]
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定価: ¥ 14,700
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発売日: 2006-08-09
発売元: キングレコード
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本当の必殺シリーズ最終章
「必殺シリーズ」は本当の意味のカルト時代劇だった。本作はシリーズ中、異端とされているが、「必殺」そのものが時代劇ひいてはテレビドラマ界で最も異端な作品だったのだ。斜陽となっていた映画界から大勢のスタッフがテレビドラマ界に流れ込み「必殺」を含む多くの「テレビ映画」(注 テレビドラマではなくテレビ映画と当時呼ばれていた)を生み出した。
「必殺」は松竹制作だが、スタッフは大映出身者が多く大映時代劇の薫りを醸し出していた。
内容は、どちらかといえば反社会的、反体制、反骨精神の塊だった。
本作はその「必殺」の掲げる「晴らせぬ恨みを晴らす」という点で最も原点に近い話である。
仕置人が金を受け取るのは、仕置人一話の台詞じゃないが、正義や世直しの押し売りを避ける歯止めだから。あくまでもビジネスというスタンスをとるため。
では本作は?路銀以外に金を取らないが、彼らは決して正義のために「うらごろし」をしていない。恨みを残して死んでいったものの「恨み」そのものを晴らし成仏させるためだ。
まさしく必殺供養そのものである。本作こそが「必殺」の最終章なのだ。
必殺のドラマ構造の根底にある「二人の殺人者の対比」を横軸に置いているのは本作までである。「先生」と「おばさん」までが「主水」と「鉄」、「市松」、「貢」、「剣之助」、「おせい」の関係と一致している。「仕事人」の「左門」以降はその点で個性が弱すぎるのだ。
おばさんの退場
こうして「うらごろし」全話を見終わると、みなさんと同様に切り口の斬新な新しい時代劇のように思います。おばさんの記憶が最終回で戻るわけですが、正ちゃんが言うように「いまさら名乗り出てどうすんのさ、おばさんのやってること考えてごらんよ」会わぬが花ということなのでしょう。
最終話はそのおばさんの死がドラマの鍵となります。原田雄一監督は新・仕置人でも最終回を演出されていましたが、工藤監督とまた違った味わいの崩壊劇をとっていますね。先生がドラマにあまり噛んでこない分、おばさんが物語りの情の部分を引っ張ってくれたようです。だからおばさんの退場でうらごろしチームが解散していくのも仕方のないことなのでしょう。でも、市原悦子さんの演技、正十の背中で息を引き取るのは切ないですね。
2010年に山内Pのインタビューが取材され「うらごろし」について興味深い話を聞きました。TBSホームドラマへのカウンターとして企画された「必殺」でしたが、紋次郎との勝負で視聴率で勝ち、アナーキーな裏稼業を描く必殺は傑作・名作を作り続けながらも番組として他局においても亜流番組林立という現象の中で次々と新機軸を打ち出していかなければならなかった。この頃山田太一脚本の「岸辺のアルバム」が放送されたのが強烈な一撃だったという。時代劇でありながら、その実「現代劇」として現代の内包する問題、不満を幾多の作品群に織り込みながらを作ってきたが、石井ふく子Pのホームドラマへのカウンターとして作り上げてきた必殺が、「岸辺のアルバム」では理想的な家族が崩壊していく社会性を強烈な切り口で描いた。このような作品が登場すると必殺のような作品が絵空事のように見えてしまうと考えたのだそうです。
ホームドラマからの強烈な一撃への提案として対抗するために必殺は「うらごろし」に当時流行していた
オカルトの要素を取り込んで放送した、というのです。ですが、山内氏はうらごろしチームはこれまでの「必殺」の極北であったといいます。先生は修験者で浮世離れした人物であり、若は顔が後ろ向きになるほど殴る、おばさんは世間話をしながら通り魔的に刺す、本来必殺が支持された層からはあまりに離反した世界観に到達してしまったという反省があったといいます。視聴率2%まで低迷したことの要因にこのような番組の継続困難という結論から短縮終了、そして必殺は原点回帰にと至ったということでした。
そして次なるシリーズ必殺仕事人 一掛之巻いよいよ登場です。うらごろしで極北にそれ過ぎてしまった視聴者に最後のシリーズになるやも知れぬという覚悟で中村主水の復帰作「必殺仕事人」の制作となるのですが、じわりと回復する人気継続の為に山内氏らは更なる仕事人の延長を決断していきます。仕事人は必殺シリーズの定番として定着していくことになるのですが、その背景にはその時代に一番破壊力のある要素を持たなくてはならないという山内氏の試案は結果吉とでました。
もう、せんない話ではありますが、おばさんと主水の仕事人というのが実現していたら傑作シリーズがもうひとつ生まれていたような気がします。この山内氏の記事を読んで、うらごろしというは転換期の迷走の果てにたどついた作品であったことがよくわかりました。
ですが、こうして見終えてみると、ひとつの時代劇としては先にも申し上げましたが、切り口の斬新な新しい時代劇のように思います。ぜひ、皆様の両の眼(まなこ)でお確かめ下さい。
もっと評価されていいと思う作品
オカルトと時代劇の融合作
当初は受けが悪く、必殺シリーズ打ち切りの危機を招いたと言われる作品だが、その内容は決して悪いものではなく、後期にいくにつれてだんだんとソフト路線になっていく「仕事人」シリーズを観た後に観ると、その内容の充実に驚かされる事は必定
悪を闇に裁く必殺シリーズと対をなしたような白昼堂々の殺陣も見所のひとつ(後期必殺のような華麗さはないものの、その個性あるそれぞれの殺しのシーンは印象深い)